AIは勝てないと記事に書かれる理由について
(筆者は勝てると考える)

AIの開発というと、大学の研究室が最先端であると思われる方も多いと思われます。確かに理論についての研究は、大学のほうが民間企業よりも進んでいることが多いと思います。

 

しかし実用となると、その分野に詳しい民間企業が技術的に上回っていることも多々あります。特に、投資のAIとなると、論文などをリサーチしてみても、そもそもあまり数が多くないことに加え、株や債券の基本を理解しているのか疑問なレベルのものもあります。

銀行、証券、アセマネなどは企業にもよりますが、専門のクオンツという集団がおり、投資理論とファンドマネージャーたちの知見をもとに、様々なモデルを構築しています。例えば、ポートフォリオ理論やVaR、ファクター理論等を応用したモデルなどです。

このようなモデルを作るクオンツたちは、学術的な方面に興味があることが多く、学会などで自分の掘り下げたことを発表することもよくあります。ただし、このように学会で発表されるモデルなどは大部分が統計金融工学に基づいたものです。

一方AIに関しては、研究という側面よりもどれだけうまく構造を作り、パラメータをチューニングできたかというテクニカルな部分が多く職人芸に近いため、良い成果を出すAIモデルを作成したからと言って、学会で評価されることは少ないでしょう。
「刀職人が良い刀を作る方法」よりも、「なぜ良い刀を作ることができるのかという理由・理論」が重要なのが学会です。

よってクオンツにとって学会等で自分のAIについて発表する意味はあまりありません。そのため、特に評価されることがないのであれば、投資AIの中身を公表したくないと思う人の方が多いでしょう。

つまり、仮に相場で勝てるAIが企業内で作られたとしても、その内容を公表するモチベーションが乏しいため、世間一般には広まりづらいのです。

よく「AIでは投資がうまくいかない」など記事にされていますが、勝てるAIがあっても世の中に情報が出ていないだけだと思っています。
記事になっているのは大抵AIを使用しているという謳い文句を引っ提げた「投資信託」です。投資信託には一般の顧客がおり、説明責任というものがついてまわります。高度なAIになればなるほど、投資判断の説明を果たすこと難しいのです。
なぜなら、「ある指標とある指標がこのようになっており、ここからは上がる可能性がある」という風に判断根拠を示すことができるAIが仮にあるとすると、そのような単純な組み合わせしか考慮できていないということなると思います。
AIのメリットは人間の想像を圧倒的に上回る要素の組み合わせを考慮することができるという点であり、それは人間がわかる言葉では説明が困難だと思います。

金融機関内で使用しているAIのパフォーマンスについては、記者は知る由もありません。
コンスタントにリターンを獲得している有名クオンツ系ヘッジファンドでも、AIを使っています。

蛇足ですが、クオンツ系のファンドは情報漏洩には非常に厳しく、辞めた社員情報を漏らしたとしてに大きな賠償金を求めて裁判を起こした例もあると聞いたことがあります。つまりAIを含めた定量的なモデルというのはそのくらい重要なものなのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です